「いや…そうじゃなくて!俺は全然大丈夫!」
悲しそうに目を細めてる先輩に、慌てて否定した。
自分の事なんかどうでも良い。
「ただ、苺先輩は困るじゃん…」
どうして困るのか、きちんと口に出して言えない。だけど、言わなくても意味を汲み取ったように、苺先輩は微笑んだ。
「友達とか、分かって欲しい人は分かってくれてるから、大丈夫だよ。…それより、早く回りに行こ?」
ふっと零れるような笑顔を見せて、玄関の外へと向かって歩き出す先輩。
分かって欲しい人…
苺先輩が一番そう思っている人は、分かってくれているのだろうか。
「翔くん、早く早く!由紀ちゃんの所行きたい!」
手招きして呼ばれて、俺は駆け足で苺先輩の隣へ並んだ。
「人の目を気にしてたら、男の子と友達になんてなれないよ」
こっちを見て、小さく吐かれた言葉。その言葉に、胸がカァッと熱くなる。
「-…」
“ありがとう”が、込み上げる。
「…苺先輩、良い事あった?」
「えっ!?何で?」
笑顔がパッと消え、驚く苺先輩。
「何となくー」
あまりに素直な先輩に、ついつい笑ってしまった。



