静まり返っていた玄関に、パタパタと小さな足音が聞こえて、壁から背中を離す。
「ごめん!翔くん!」
軽い足音は、予想通り苺先輩。
先輩は下駄箱で靴を履き変えて、俺の前へと立った。
「ごめんね」
肩を上下させ謝る先輩に、俺は首を横に振る。
「そんなに待ってないよ。それより友達と居たんでしょ?俺の方こそごめん」
「ううんっ、大丈夫だよ」
にっこりと笑顔を見せる先輩。
だけどその笑顔が、どこか物寂しげに見えて、やっぱり悪い事をしてしまったような気がした。
そんな時、
「あ!翔じゃん!」
クラスメートの男子が外から玄関の中に入って来た。
「何?これから彼女とデート?」
クラスメートは足を止めず、真っ直ぐに下駄箱に向かいながらも、俺達を冷やかす。
「ちがっ」
「まぁまぁ、ごゆっくり~」
否定する俺の声も聞かずに、急いでいたのかクラスメートは、あっという間に校舎の中へ消えて行った。
「バカ…」
参っている俺に追い打ちをかけるクラスメートの発言に、頭を抱える。
苺先輩と目が合って、先輩は少し困ったように苦笑した。



