13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


静まり返っていた玄関に、パタパタと小さな足音が聞こえて、壁から背中を離す。

「ごめん!翔くん!」

軽い足音は、予想通り苺先輩。
先輩は下駄箱で靴を履き変えて、俺の前へと立った。

「ごめんね」

肩を上下させ謝る先輩に、俺は首を横に振る。

「そんなに待ってないよ。それより友達と居たんでしょ?俺の方こそごめん」
「ううんっ、大丈夫だよ」

にっこりと笑顔を見せる先輩。
だけどその笑顔が、どこか物寂しげに見えて、やっぱり悪い事をしてしまったような気がした。

そんな時、

「あ!翔じゃん!」

クラスメートの男子が外から玄関の中に入って来た。

「何?これから彼女とデート?」

クラスメートは足を止めず、真っ直ぐに下駄箱に向かいながらも、俺達を冷やかす。

「ちがっ」
「まぁまぁ、ごゆっくり~」

否定する俺の声も聞かずに、急いでいたのかクラスメートは、あっという間に校舎の中へ消えて行った。

「バカ…」

参っている俺に追い打ちをかけるクラスメートの発言に、頭を抱える。

苺先輩と目が合って、先輩は少し困ったように苦笑した。