13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


☆翔side☆


「もしもし?苺先輩?」

沢山の人で賑わう騒がしい場所を避けて、歩きながら電話する。

「どこにいんの?」
『教室の展示のところ』

耳に当たる優しい声。
これから、一緒に行動するために連絡しているというのに、気分は浮かない。

「誰かと一緒?」
『うん、…友達と』

“友達”
ごく普通の言葉が、心にチクリと刺さる。

「今から一緒に回ろうと思ったんだけど、じゃあその人も一緒に回る?」
『あ…ううんっ!ちょっと会って話してただけだから。あたし今からそっち行くよ、どこ?』
「マジで?じゃあ…玄関で待ってる」


電話を切って玄関へ向かうと、そこに人はほとんど居なくて、俺は壁に寄り掛かって先輩を待つ。

「はぁ…」

思わず漏れたため息。あまり元気が出ないのは、

“早く先輩の所行けば”

何気ない檜山の言葉が、心にグサッときたから。

檜山は俺が苺先輩と一緒に居るのを、“当たり前”だと思ってる。
檜山だけじゃない。他のみんなも、知らない人さえも、きっとそう思ってる。

俺と苺先輩は付き合ってる、確実にそう思ってる…。