☆翔side☆
「もしもし?苺先輩?」
沢山の人で賑わう騒がしい場所を避けて、歩きながら電話する。
「どこにいんの?」
『教室の展示のところ』
耳に当たる優しい声。
これから、一緒に行動するために連絡しているというのに、気分は浮かない。
「誰かと一緒?」
『うん、…友達と』
“友達”
ごく普通の言葉が、心にチクリと刺さる。
「今から一緒に回ろうと思ったんだけど、じゃあその人も一緒に回る?」
『あ…ううんっ!ちょっと会って話してただけだから。あたし今からそっち行くよ、どこ?』
「マジで?じゃあ…玄関で待ってる」
電話を切って玄関へ向かうと、そこに人はほとんど居なくて、俺は壁に寄り掛かって先輩を待つ。
「はぁ…」
思わず漏れたため息。あまり元気が出ないのは、
“早く先輩の所行けば”
何気ない檜山の言葉が、心にグサッときたから。
檜山は俺が苺先輩と一緒に居るのを、“当たり前”だと思ってる。
檜山だけじゃない。他のみんなも、知らない人さえも、きっとそう思ってる。
俺と苺先輩は付き合ってる、確実にそう思ってる…。



