「苺先輩、今日先に帰ってて…遅くなりそうだから」
急に思い立ったことがあって、一緒に下校するのを断った。
「え?あ、うん」
俺から断るのは、きっとこれが初めてで、珍しい俺の行動に驚いたのか、少しまのぬけた苺先輩の返事。
ちょっとでも“寂しい”とか“どうしたんだろう”とか思ってくれたら嬉しいと、頭の隅で思う。
「じゃあ、気をつけて帰って」
「ありがとう、翔くんもね」
「バイバイ」と手を振って、苺先輩は背を向けた。
その背中を十数秒見つめて…
「…よし!」
気合いを入れるように言うと、鞄を取りに教室に戻る。そしてそのまますぐに、教室を飛び出した。
思い立ったら即行動!
じゃないと…また時間だけが過ぎて行く気がするから。
階段を降りて、小走りで向かう先…それは体育館だった。
体育館の周りには、体操服を来た人が頻繁に行き交う。
そんな人達を横目に、俺は正面玄関ではなく、脇の大きなドアから中を覗いた…けど、
「……?」
俺の想像していた光景はそこにはない。
何部か知らないけど人は数人居る。でも、静かな体育館。



