13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


「や…何でもない!」

やっぱり言うのを辞めた。

これからどうするかは、西藤先輩の…二人の問題で、これ以上お節介はしちゃいけない。

「えー、何?」
「秘密!」
「気になるよー」

逃げるように足を早めると、追い掛けるように苺先輩もついて来る。それを俺は笑って見ていた。


「…」

ふと前を向いた瞬間、一人の女の子が走りながら通り過ぎる。

憎らしいくらい高い位置で揺れるポニーテール。
俺は彼女の、肩に掛けた鞄に付いたキーホルダーに目を奪われる。

いかにも“手作り”の、白くて丸いフェルト地のマスコットは、バレーボール…。


「もう翔くん!何なの?…って、どうかした?」

一心に前方を見る俺に、追い付いた苺先輩も前を見る。

「…どうもしないよ」

ずっとこうやって、苺先輩とふざけながら一緒に登校したいと思う反面、

ここから離れる覚悟を、ほんの少しずつ始めていた…。