バレーなんて、背の高い人の為にあるようなスポーツで、それは当たり前と言えば、当たり前の光景。
だけど、私にはほんの少し寂しい。
「特に意味はないです」
藤原先輩にはそう言いつつ、本当は…まだアイツの姿を探してた。
…バカだな。
「先輩ー!藤原先輩!」
ネットを挟んだ向こう側から、男子が大声で先輩を呼ぶ。
先輩は分かったと挨拶するように手を挙げて、
「あんまよそ見してちゃダメだよ。練習頑張って」
ポンッと私の背中を軽く押して、走って男子バレー部へ戻って行った。
「先輩だって…よそ見してるじゃん」
軽く笑って、私も練習へ戻ろうと振り向く…と、
「佳ー奈ー」
「きゃっ!」
私の後ろには、張り付くように同じバレー部の友達が居た。
「何!?びっくりするじゃん!」
驚く私に友達はニヤッと笑う。
「びっくりしたのはこっちだよ~。いつの間に先輩と?」
「…」
完璧に勘違いしている友達に、私はため息をついた。
「言っとくけど、そんなんじゃないから」
「えー…でも、最近仲良さそうじゃん?」
タオルを戻そうと、歩き出す私の後ろを、友達はくっついて歩く。



