13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


「おぉ、おやすみ」
「おやすみっ」

優しく夜の挨拶をする西藤先輩に、嬉しそうに応える藤堂先輩。
二人は付き合っているのだから当たり前な事だ。

だけど、無性にイライラした。


藤堂先輩を完全に見送って、今度こそこっちに歩いて来る。


「こんばんは」

顔がはっきりと確認出来る距離で、俺は挨拶をした。
西藤先輩は驚いたように目を見開いたが、すぐに冷めた表情になる。

「…こんばんは、何?」
「すみません、こんな時間に…。家、調べるような事してすみません」

謝りながら頭を下げる。

その人並み外れた整った容姿から、学年問わず人気の先輩。
こっそり付けて帰っちゃったと、騒いでる女子が居たのを覚えてて、調べるのは容易だった。

「別にいいけど…何?」

さっき藤堂先輩と話していた時とは、まるで違う冷ややかな視線と声。

それはきっと…“俺”だからだ。

「いきなり…こんな事言うの失礼ですが西藤先輩…」

覚悟するように、手に力を入れて握りこぶしを作る。

「苺先輩の事、好きですよね」

俺の言葉に、西藤先輩は何か詰まったように一瞬言葉を失った。