13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


「檜山さん!」

大きな声で名前を呼ばれて、私はやっと顔を上げる。

「やっぱり、すぐ帰って来ないから!」

公園を出る手前、藤原先輩は大きく手を1回振り、そう言うとそのまま出て行った。

変な事を言う人…。

ちょっとだけお節介だと思った。

でも…。


私はまた空を見上げる。

すると、さっきまでの騒がしい空ではなくて、静かな空へと戻っていた。いつの間にか花火は終わってしまったみたい。

少し寂しさを感じながらも、こっちの方が好きかもと思った。

小さな星がキラキラと瞬いて…まるで慰めてくれているように優しい。


頭の中には翔と津田先輩の姿。

消したいのに…消せない。


翔を想う気持ちも、

消したいのに…消せていない。


『自分の気持ち、押し殺しちゃダメだよ』

自分の気持ち…か。


「……いや…」


…嫌。

翔が他の女の子と抱き合うなんて、嫌。

恋をするなんて、嫌。


「…嫌よ…」


手に持っていたアイス。

私は空を見上げたまま目を閉じて、それを目の上に乗せるように当てた。


ひんやりと冷たいのに…

熱くてしょうがなかった。