13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


「それで、逃げるみたいに走ってたんです」

夜空を見上げたまま、私は肩を落とした。

「だから泣きそうな顔してたんだ」

その言葉に、今度は私が藤原先輩の顔を見ると、

「でも…泣かないんだね」

私の目を見て、藤原先輩は静かに微笑んだ。
哀れむような笑顔に、胸が締め付けられる。

「泣いたって…何かが変わるわけじゃないじゃないですか」
「変わるよ」

即答した藤原先輩に、私はきょとんとする。

「そういえばそれ、大丈夫?」

いきなり話を変えて、私の手元を指差す藤原先輩。

「あっ!」

手に持っていたのはコンビニのレジ袋で、表明には水滴が沢山付いている。

忘れてたっ!!

「あー…溶けてる…」

言いながら取り出したのは、ソーダ味のアイスキャンディー。

冷たさはあるものの、袋はタプタプ言っていて、開けなくても溶けているのは一目で分かる。

レジ袋の中には同じ物がもう一袋。

あぁ…怒られる。

お母さんに頼まれて、コンビニに買いに来たのに、これじゃあ食べられない。

いや、もう一度凍らせれば食べれるかな…?

溶けたアイスを片手に、どうするか考えていると、

「ごめん」

何故か藤原先輩が謝った。