「…いるよ。実は今日も一緒だったんだ」
彼氏のいないと言ってる私には、嫌味な発言かもしれない。
だけど、聞いたのは私という事もあってか、嫌な気持ちにはならない。
「じゃあ、私と花火見てたりしてたら、まずいんじゃないですか?」
「もう帰ったから…大丈夫だよ」
喧嘩でもしたのかな…。
花火を見る前に帰ってしまった事、それから藤原先輩が少し物寂しげな顔をした事から、勝手な想像を膨らます。
だけど、余計な詮索はせずに、
「いいな…」
心から言葉が漏れるように呟いた。
「え?」と、藤原先輩は私の顔を見る。
「私ふられたんです。まぁ…告白もしてないんですけど」
空高く打ち上がって、様々な色に一瞬だけ輝いて、地面に吸い込まれるように消えていく…
そんな花火を、ただ見つめながら私は話していた。
「中学の時から好きな人がいて…でも、その人は他の人を好きになって。たぶん…付き合ってるんです」
今日知り合ったばかりの藤原先輩に、何を話してるんだろう…。
頭の隅で思いながらも、開く口を止めようとはしない。
「さっき…見ちゃったんですよ。二人の姿…」



