変な例えだけど…
ホストがお客に向けるような…
そんなサービスみたいな笑顔。
だけど、私にはそんな笑顔を向けない。
…って言うのも、私達の関係が喧嘩友達だからなんだけど。
それでも…
それでも自分は翔にとって、どこか“特別”な気がしてた。
「まっ、佳奈はこれからも一緒だしね」
ニッと、都は笑う。
「学校違うから、見守れないのは残念だけど、良い知らせを期待してますから」
「…馬鹿、そんなんないよ」
「えー?」
「ないものはない」
軽く都をあしらいながらも、胸の奥は少しドキドキしてた。
「もう、佳奈は素直じゃないんだから…。そういえば、さっき何話してたの?」
「え?あぁ……」
都に伝えようと桜の木を見る。
だけど、私の口は教えるのをやめた。
「別に変わった事は話してないよ」
「えっ、今何か言おうとしたじゃん!」
こういう事になると、都は目ざとい。
「そろそろ集まんないとヤバイんじゃない?」
私は咄嗟に話題を変える。
「話そらさないでよー。でも…そうかも」
都は腕時計を見て頷いた。



