13センチの片想い。私とアイツの恋の距離


変な例えだけど…

ホストがお客に向けるような…
そんなサービスみたいな笑顔。

だけど、私にはそんな笑顔を向けない。

…って言うのも、私達の関係が喧嘩友達だからなんだけど。

それでも…

それでも自分は翔にとって、どこか“特別”な気がしてた。


「まっ、佳奈はこれからも一緒だしね」

ニッと、都は笑う。

「学校違うから、見守れないのは残念だけど、良い知らせを期待してますから」

「…馬鹿、そんなんないよ」
「えー?」
「ないものはない」

軽く都をあしらいながらも、胸の奥は少しドキドキしてた。

「もう、佳奈は素直じゃないんだから…。そういえば、さっき何話してたの?」
「え?あぁ……」

都に伝えようと桜の木を見る。
だけど、私の口は教えるのをやめた。

「別に変わった事は話してないよ」
「えっ、今何か言おうとしたじゃん!」

こういう事になると、都は目ざとい。

「そろそろ集まんないとヤバイんじゃない?」

私は咄嗟に話題を変える。

「話そらさないでよー。でも…そうかも」

都は腕時計を見て頷いた。