*陽side*

「戸田がいないぞー?」

言われなくても分かってる。
昼休みの面談後、はるは教室に帰ってきていない。


「てらりんが進路相談でなんかきっついことでも言って泣いてる?とかはねぇのー?」

「安藤…俺がそんなことするわけないだろ?」

「それもそうなんだよなぁ…てらりん基本いい奴だし。」

「五十嵐。」

「はい?」

「戸田を探して来い。」

「俺ですか?」

「お前が一番分かるだろう?」

「…行ってきます。」

「悪いな。」

「いえ。」


寺脇先生、全然悪いなんて思ってないな。
声に謝罪の気持ちがないし。
むしろちょっと面白がってるんじゃないかっていう声のトーンだ。

でも俺もはるの行方が気になって、授業に集中できないわけで…
だから授業を抜けさせてくれたことには少し感謝している。

そもそも、はるが行く場所はひとつしかないわけで…
はるを見つけること自体は簡単だけど、その理由自体はは大分複雑な気がする。

進路相談で何かあったのかな?