そう言っていたずらに笑って、陽はあたしの唇にキスを落とす。



「ちょ…っ…ここ…どこだか分かってんの…!?」

「分かってるよ。だけど今誰もいないし。
それにはる、もう卒業生だからいいでしょ?」

「そういう問題じゃないもん!!」

「キスなんてこれから死ぬほどするのに…そんな照れなくても…。」

「っ…もーっ!!絶対無理!!死ぬほどとかしないんだから!!」

「そんなつれないこと言わないでほしいんだけどな…。
ってかそんな可愛くないことをいうはるからは…。」

「え?」

「絶対離れない!!」

「ちょ…陽っ…。」


陽にまた抱きしめられるあたし。

コツン…とぶつかるあたしと陽のおでこ。
陽と目が合って、笑みが零れる。


「さてっ…行こうか。」

「へっ?」

「明日には俺の家に行くんだから、準備しないと。
俺、今日ははるを迎えに来ただけだし。」

「無理だよっ!!あたし準備とか全然してない…。」

「だから手伝うってば。」

「もーっ…強引だよー陽。」

「早く連れて行きたくてさ。
一人でいるの、もう嫌なんだ。さ、行こう?」



そう言って差し出された手を、あたしは素直に握った。
握ったその瞬間に、陽が優しく微笑んでくれる。
その笑顔につられてあたしも微笑む。