「衣里香…。」

「目は覚めたかしら?」

「…あっ…ありがとう!!
目、覚めたっ!!」

「なら今すぐ行きなさいよ。
こっちはあなたのバカ騒ぎに付き合っていられるほど暇じゃないんだから。」

「…っ…行ってくるっ!!」

「いってらっしゃーい!!」


* * *

「衣里香の言葉の方が効き目強いって…あたし、なんだかフクザツ…。」

「あなたは私より優しいだけよ。
私はあの子への言葉は選ばないようにしてるから。」

「どうして?」

「この私を差し置いて陽と付き合ってるっていうのに、あの子全然成長しないんだもの。
少しくらいいじめたって、私にはなんの非もないはずよ。」

「んー…
多少傲慢な部分はあるけど大筋は認めざるを得ないなぁ…」

「でしょう?
ま、これで陽の最近の陰鬱な気分も少しは晴れるでしょ。」

「だといいね。
はる、ちゃんと言えるといいんだけど…。笑顔で…。」

「笑顔じゃなくても、陽にとっては威力充分よ。」

「え?」