恋色の紙ヒコーキ

-屋上-

「もーっ!!
あんなに大勢の前で何言ってんの!?」

「え?
何って…ホントのことしか言ってないわよ。
間違ってないでしょ?」

「あたしに聞かないでよ!!」

「だってあの子、なんかむかつくんだもん。仕方ないじゃない。
はると陽くんのこと、全然知らないくせにさー
っていうか見た目だけで判断する子ってあたし嫌い。」

「仕方ないよ。見た目は変えられないし。
あたし、確かに可愛くないし。」


神城衣里香の隣に並んだら、あたしの顔なんてひどいもんだと思う。
だって神城衣里香の顔、確かに可愛いんだもん。
顔小さいし…目大きいし。


「あのねー…なんではる、そんな怒んないでいられんの!?
侮辱されたのよ?分かってる?」

「分かってるよ。でもさー…。」

「でも、何よ?」

「なんか…ちょっと…もやっとするの。」

「もやっと?」

「梨絵には聞こえなかったかもなんだけど…
陽ね、神城衣里香が教室に入ってきたとき、
『衣里香』って呼んだの。
梨絵でさえ『笹川さん』なのに…だから…」


あたしは思わず俯いた。
なんなんだろう…この沈んでいく気持ち…。