「ちちち…違うもんっ!!」

「そんな顔で違うとか言われてもなぁ…説得力ゼロだよ、はる。
というか笹川さんにまで嫉妬しちゃうなんてさ…まぁ嬉しいけど。」

「だ…って…悔しいくらい…
お似合いなんだもん。」

「へ?」


自分でちゃんと分かってるもん。
ヤキモチとかバカだなって。
梨絵が安藤のこと大好きなのも知ってるし、陽がちゃんとあたしのこと好きでいてくれることも知ってる。
陽と梨絵が恋人役をやっても、気持ちは全く変わらないって…
ちゃんと分かってるのに…

やっぱり少しへこむんだよね。
だってお似合いなんだもん、陽と梨絵。
なんて言えばいいのか分かんないけど…
つり合いが取れてるって言うのかな…



「はる?聞いてる?」

「へっ!?」

「何一人で考えこんでるの?
というか俺の話聞いてた?」

「ごめん…聞いてなかった。」

「これだからはるは…。」


目の前には陽の呆れ顔。
あたしはなんだか気まずくなる。



「いらないことを気にしすぎなんだよ。
俺も笹川さんもただ与えられた役やってるだけ。
本当の俺ならメイドと駆け落ちしてるし、笹川さんだって俺なんか選ばない。」

「メイドと駆け落ちっ!?なんか嫌な響き!!」

「メイドってはるのことだからね。
俺が皇子なら、ずっとそばにいてくれたメイドを好きになるって話だよ。
というかはるは余計な心配が多いよ。
俺と笹川さんなんて、そもそもありえないだろ?」

「分かってるもんっ!!」



分かってるよそんなことは!!
でも嫌って思っちゃうんだから仕方ないじゃん!!