巨(おお)きい。

 その見事な体躯の男は、橋のたもとから、ぬっと現れると。

 月が陰って、辺りが急に、暗くなったような気がした。




 僧の象徴である頭巾を被りながら、身体を月光で鈍く光る鎧で覆っている。

 手には、大ぶりの長刀を持ち。

 背には、槍や、さすまたの他、唐渡りの蛇矛(じゃほこ)など。

 凶悪そうな武器を大量にごちゃごちゃと。

 しかし、軽々と背負っていた。

 そして。

 自分よりも、はるかに背の低く、華奢な作りの二人を睨みつけると。

 鬼瓦のような顔を真っ赤にして、怒鳴った。





「人が、黙って聞いてれば、勝手なことを抜かしやがって!
 手前ぇら!
 ここから生きて帰りたくば。乙(おれ)に、刀をよこせ~~!」