気づいた時には、あたしの手は先生の大きな手に包まれていて。 先生が走りだしたと同時に、 あたしも駆け出していた。 「あ!おい!待てよ!」 健クンの取り乱した声が、背中ごしに聞こえる。 でも、あたしと先生は決して振り返らなかった。 見るのは、健クンとの過去じゃない。 先生との未来、 だから――。