――不運だよな。 初めて本気で恋した女が、俺の生徒だなんて。 たまに思う。 美緒が生徒じゃなかったら良かった、って。 そしたら、俺たちは普通の恋愛を楽しめたのに、って。 ――でも、生徒と教師じゃなきゃ。 俺たちは出会わなかった。 『…どうしたらいいんだよ。』 ただ1人、俺がいる数学教師室は寂しくて。 やけに俺の呟きが響く。 それが一層、俺を虚しくさせた。 そんな俺とは違って。 太陽だけはいつも通り輝いていた。