「健ちゃん、これ」





そう言って、手渡したのは小さなイルカのキーホルダー。




それを見て、眉間にシワを寄せるのはあたしの彼氏。



伊川 健一郎(いがわけんいちろう)。




あたしより、一つ年上で。




アタックの末に、最近やっと付き合ってもらえた。





その時は、飛び上がるほど嬉しくて嬉しくてつい泣いてしまった。




「なに、これ」




「なにって…キーホルダー?」





そう言うと、健ちゃんは嫌そうにそれを受けとる。




でも、別にいいの。




こんな顔されたって、ちゃんとおそろいのケータイに付けてくれるから。