髪からポタポタと雫が床を濡らしていく


和奏は俺に一歩近づくと俺の手に触れた


「…そんなこと言わないで……ね?」


そして俺の手を握ると自分の胸に近づけた


「………」

「…あたしたち…なにも悪いことなんか…してないよ?」

「………」

「…あたしなら大丈夫…何もされてない…」


そう言ってぎこちなく微笑む


なんでそんなに優しいんだ?
あいつらになにかされたんだろ?
俺は頼りにならない?
だから話さないの?


「…ごめん………やっぱり……」


俺の言葉を拒否するように首をぶんぶん振る和奏


「……しばらく…距離を置こう」