「止めてください。」


山南さんはそう言って鉄格子の隙間から手を伸ばし彼女の手を握った。


「これは私が決めた事です。それに貴女には死んでほしくありません。またあの時みたいに団子を笑顔で売っていてほしいのです。」


山南さんはそう言うと優しく彼女に笑った。


「でも、山南さん……。」


「私は、貴女に感謝していますよ。こんな私を愛してくれて。」


山南さんがそう言うと彼女はその場に泣き崩れた。


「沖田くん、彼女と少しだけ2人にしてほしいのですが駄目でしょうか?」


山南さんの最後のお願いだろう。


「良いですよ。」


私はその場を離れ、手を握り合っている2人をチラッと見た後、牢から出て行った。