メール画面を閉じ、再び液晶に映し出された携帯小説サイトで、
書きかけだった残りわずかの文章を仕上げるべく彼女は指を動かした。

これは彼女のささやかな抵抗だ。

何も知らずに生きている住人たちに、自分の体験を物語仕立てに綴ってこの携帯小説サイトで公開する。

もっとも、物語だと思って誰も本気にはしないだろうけれど。


だからこれは、とてもとてもささやかな抵抗だ。