「それは──」

すると、整った若者の顔が困ったように少しだけ無防備な表情をさらして、


「死なせたくないと思ったのだ」


そう答えた。



「お前を、愛しいと思ってしまったからかもしれぬな──」



私は目を丸くして、

生まれて初めて男の人から──
それも今日出会ったばかりの、
よりにもよって天狗から、
こんな場面で──かけられた甘い言葉に驚いて、

その言葉に大きく音を立てた己の胸にまた驚いて、


そして──