「…なんだ」 部長の低い声。この声があたしを呼ぶのが好きだった。単調でも、あたしを見てくれているのが嬉しくて仕方なかった。 天童さんは唇の端をクッと上げて、無言で部屋を出た。 静かな企画室に残された流れる沈黙が痛い。 「…部長」 あたしは泣きそうになるのを必死で堪えて部長を見上げる。何で、こんな状況なのにあたしはまだ部長の袖を掴んでいるんだろうなんて、視線が定まらず自分の指先を見つめながら。