私と愁哉さんが婚約破棄したのは既に周知の事実で、毎日家に来ていた愁哉さんはもういなくて、彼に関わる事ももうない日々は、穏やかで、ゆっくりとしていて、 切ない。 「…またそんな顔して」 恭平さんの耳に優しい低い声が響く。 見上げた目線にいる恭平さんは、少し困った様に笑った。 その瞳が優しくてそれなのに力強くて、包むようで、戸惑う。 「…そんな目で…見ないで下さい」 そんな瞳で見つめられた事なんてない。 覚えているのは、 射抜く様に冷えた、透明な瞳だけ。