「船長が船で待ってる、すぐに戻れ。」

「すぐにって…私達はもう戻る気はないんだけど?」

「お前らの探してた女が、船に乗りこんできやがってな。
うちの船長に適うはずもないのに…とっ捕まえてあるからよ。用があるんだろ?」

「捕まえたって、マティリを?」

ニーナが勢いよくトードに掴みかかる。

「…げほっ…ああ、メインマストに縛りつけてあるから、逃げられねえよ。…っ…おいっ、離せよっ!」

咳込むトードから手を離し、振り返る。
同時にうなづくと、船への道を走りだした。

ガルは宝石箱を脇に抱える。記憶を戻すのはもう少し後になりそうだ。