パパはアイドル♪ ~奈桜クンの憂鬱~

「えぇー!どうしてもダメ?美奈子ちゃんと『観る』って約束したのに。ちゃんと人参も食べるから」


桜は人参が大の苦手で、どうしても聞いて欲しいお願いがある時はこの『人参』を引き合いに出す。
桜にとっては精一杯の交換条件。
優子は困り切っていた。


「でも…ね、約束は約束だから。破ったら約束にならないでしょ?そうだ。今日のおやつ、一緒にホットケーキ焼こうか?ハートの形にしようかなぁ」


優子は必死に話を変えようとする。
桜は…
唇を少し尖らせ、体を2、3度揺らしてがっかりした顔を見せた。
本当は、普段よく言う事を聞く桜のこんな頼みくらい、気持ち良く聞いてあげたい。
ほんのちょっと、一瞬だけ奈桜に腹が立った。


桜は諦めたのかしょげたまま、ゆっくりと歩き出す。