「桜……」 プライベート用の携帯電話を取り出すと、待受画面をじっと見た。 大きな満開の桜の木の下で、笑う奈桜と娘の桜の写真。 父と子の、幸せそうなどこにでもある風景。 「寄り道してごめん。パパは桜が1番好きだから。もう…会わないよ」 梓への想いは静かな過去の想い出。 うつむいた奈桜の頬にキラッと光る物が一瞬見えた。