パパはアイドル♪ ~奈桜クンの憂鬱~

「いいよ。この際、何でも聞いてくれ」


困った顔の奈桜を見て碧が笑う。


「そんな顔すんなよ。いじめてるみたいだろ?…あのさ、まさか七海と梓さんと二股かけてたんじゃないよな?ずっと気になってたんだけど、なんか聞きにくくってさ」


「かけてねぇよ」


ちょっとムッとして奈桜が答える。


「七海とは…7年前?18歳の頃に3ヶ月位しか付き合ってない。梓とは七海と別れてからだよ。梓とは2年…」


「分かった。奈桜の女関係は全部知ってるつもりだけど、そこの時間関係が分かりにくくてさ。これで解決。サンキュ♪」


言いながらサッと立ち上がった。
奈桜はよく分からない顔で碧を見る。
碧の顔がスーッと変わった。


「七海が別れたのは…多分、妊娠に気付いたからだろ。別れが先じゃなくて、気付いたのが先。七海が華やかな芸能界を捨てて1人で桜ちゃんを育ててる時に、パパのお前は梓さんと上手くやってた」


奈桜に背中を向けて、碧が静かに…少し突き放した言い方をした。
奈桜は碧のその言い方に驚いた顔を見せる。


「何が言いたいんだ?」


「お前は……『パパ』なんだよ。桜ちゃんの『パパ』なんだよ。それを忘れるな。梓さんとは…もう会うな」