パパはアイドル♪ ~奈桜クンの憂鬱~

「ほんとに。マジでそう思うよ。…あの時、梓と別れてなかったら…。すごい修羅場だったかもな」


奈桜はその時を思い出すような目をした。
言葉とは逆に、どこか優しく、どこか懐かしんでいるように。


「お前さ、ほんとオレの肝心な時に必ず居合わせるよな?」


言いながら、奈桜は碧を見て笑う。


「知らねぇよ。こっちだって、いい迷惑だよ」


「だな?」


とその時、奈桜と碧はほぼ同時に自分の携帯を見た。


「泉だよ…」


奈桜が言う。


「心だよ…」



碧が開いた携帯の画面を見せる。
それぞれから送られて来た同じその写メは、タクシーの中で口を開けて爆睡している奏の顔だった。


「アイツら…」


2人は顔を見合わせて笑った。
ただ単にいたずら心だけではなく、そこにいない奈桜と碧に気を向けてくれている事が嬉しかった。