街灯がひとつあるだけのほの暗い公園に梓は佇んでいた。
「変わってない…」
何故かいつも置きっぱなしの砂場の赤いスコップ。
色が剥げかけている緑の滑り台。
葉を茂らせた大きな桜の木も、変わらずそこにあった。
全部が…変わらない。
梓は頬にかかった長い髪を後ろへやりながら、目を細めて笑った。
ゆっくりと乾いた足音を響かせながらブランコに近付くと、2つあるうちの向かって右に座る。
見上げた夜空は今の梓の気持ちを表すかのように、キラキラと瞬いている。
「奈桜…、やっと会える」
長旅を終えてようやく家に帰りついたような安堵の表情で空を仰いだ。

