パパはアイドル♪ ~奈桜クンの憂鬱~

「何が?大丈夫だよ。どこも打ってない」


わざとらしく奈桜が腕を動かす。


「ふざけるな。梓さんが帰って来た!!」


碧は道路の端に車を止めた。
ウインカーの音が虚しく響く。
何を言えばいいのか分からない奈桜は黙ったまま下を向いた。


「会うなよ。絶対、会うなよ。分かったな?」


キツイ口調で碧が前を向いたまま言う。
いつもなら、ここでふざけて笑いに変えてしまう奈桜が、黙ったまま動かない。


「奈桜!!…まさか…、まさか、もう梓さんと連絡取り合ったのか!?」


大きな目が、今にも奈桜を吸い込みそうな勢いで見つめた。