パパはアイドル♪ ~奈桜クンの憂鬱~

「スポーツ新聞?…読んでない」


奈桜は自分の言葉を飲んで碧の質問に答えた。
前を見つめる碧の横顔が険しくなる。


「何?何が載ってんだよ?」


ちょっとふざけて笑いながら奈桜が聞く。


「帰って来てる。…水無瀬 梓が」


黄色の信号で前の車が止まってしまい、そのまま突っ切るつもりだった碧は急ブレーキを踏んだ。
瞬間、奈桜はちょっと前のめりになったが、おかげで動揺した顔を見られずに済んだ。


「危ねぇな。大丈夫か?」


明るく言ったつもりだったが、奈桜自身、かなり白々しい口調になってしまったと後悔した。


「お前こそ、大丈夫なのかよ」


チラッと動いた碧の視線のキツさに、奈桜の心臓はキュッと固くなる。