―止まれ…止まれ…―
「おい、どこ連れてくんだよ」
腕を引っ張られたまま奈桜は情けない声を出した。
「送る。話がある」
碧は真っ直ぐ前を向いたまま、ぐんぐん歩いて行く。
「そのSっぽい言い方、やめた方がいいよ。ちょっとコワイ」
脳天気な事を言う奈桜を碧が一瞬睨んだ。
「だからコワイって…」
ちょっとふざけて言いながら、碧の最近染めたらしい少し茶色くなった髪の毛先の遊ばせ方は絶妙だと思った。
「乗って」
奈桜はやっと解放された腕をわざと上下に振って、痛そうなそぶりをする。
が、碧は全くそれには気付かず、車に先に乗り込んだ。
車はゆっくりと駐車場を出て行く。

