パパはアイドル♪ ~奈桜クンの憂鬱~

「会えない?」


小さく、わざと聞き取りにくい声で恐る恐る聞く梓の声。
恐らく、思いっ切りの勇気を出して聞いているのだろう。


今、この瞬間の奈桜には、桜が用意して側に置いてくれたパンツも、壁に飾ってある桜が描いた絵も、映したくないものは何も目に入ってなかった。


『会いたい…死ぬほど会いたい』


でも、最近の殺人級の強行スケジュールを考えると、会う時間なんてどこにも見つからない。
実際、今日も1時間も寝ずしてもうすぐ出なければならない。
なのに、奈桜の頭の中では瞬時に梓に会う為の時間の隙間を探っていた。


「あ…、無理ならいいの。ごめんね。ちょっと聞いただけだから」


もう少し…聞いていたい懐かしい声。
お互いが…お互いを静かに少しずつ引き合って行く。