パパはアイドル♪ ~奈桜クンの憂鬱~


「…もしもし」


「もしもし…」


静かな落ち着いた女性のその声に、奈桜の心臓はドクンと大きく鳴った。
次の言葉が出て来ない。


「奈桜?」


「…うん」


まだ耳に残っていた、その声…


「水無瀬(みなせ)です」


やっぱり…
奈桜の心がざわざわと波立って行く。
聞きたくて…聞きたくて…
でも2度と聞いてはいけない声だった。


「……うん」


驚きと嬉しさと戸惑いと…
封印していた記憶があっさりと蘇る。
情けない程に。