―波乱の幕開け―
「……パパ、鳴ってる!鳴ってるって」
最近切ったばかりのちょっと短くなった髪が、あちこちに元気良くハネて動く。
キティちゃんの枕に埋もれた優しい寝顔。
「パパ、携帯鳴ってるよ!」
桜は布団の上から奈桜の体を揺する。
シャンプーの匂いか、甘い香りがした。
桜が諦めて手を離した瞬間、布団の隙間から奈桜の手が一気に伸びて桜を捕まえた。
「キャハハ…」
思いっ切り引っ張られ、強く抱きしめられた桜は大声で笑った。
「捕まえたぞ」
奈桜は逃げようとする桜をグッと力を入れて捕まえる。
その目はまだ眠くて閉じたままだが、顔中、ほころんでいる。
こういった朝の、桜とのたわいないじゃれ合いが奈桜の幸せな瞬間だった。

