パパはアイドル♪ ~奈桜クンの憂鬱~

「ちょっと待ってろ。パパから離れるな」


奈桜は携帯を取り出すと母の優子に電話をかけた。


「……そう。だからすぐ来て。…うん。早く。…はい」


電話をしながらも奈桜の頭の中はあのプロデューサーの事で一杯だった。


(どうしよう…どうすれば…)


まず、あの若いADにも嘘をつかなくてはならない。


「逃げられた事にするか…」


小さく呟いたその時、誰かに後ろから頭を叩かれた。


「イテッ」


奈桜が頭をさすりながらゆっくり振り返る。


「そんな言い訳が通用する訳ねぇだろ!」


碧が怒った顔で立っている。


「あっちで、あの…その……、『似てる』って騒いでるぞ」


側に桜がいる事に碧は最大限に気を遣った。
結果、途中から出せないキーワードに声が小さくなってしまった。


「似てる?オレに?」


嬉しそうに奈桜は自分を指差して微笑む。