パパはアイドル♪ ~奈桜クンの憂鬱~

「あっ、そう言えば前に『鮎川カンナ』って女、知ってるか聞いてただろ?」


少しみんなと距離を開けて、碧が奈桜の耳元で言う。


「えっ?あ…あぁ、そう。そうだよ。何か変な事言う女でさ。誰なんだろ?」


「あれさ、思い出した」


碧がクッと笑う。


「何だよ?」


「昔さ、一度だけお前とオレが出てたドラマで共演してるんだよ。彼女はただのクラスメート役だったけど。でさ、その時にオレ、つきまとわれてさぁ」


奈桜は『ふんふん』という感じで聞いているが碧の言いたい事が全く分からない。


「でさ、告白もされてないのに振る事も出来ないだろ?邪険にも出来ない。だからって毎日、色目使われてみろ?職場放棄したくなる。でもそういう訳にもいかない。だからさ、困った時の奈桜だよ」


奈桜は余計によく分からないという顔で碧を見た。


「実は奈桜が彼女に興味があるって言った」


「ほぉ~。……えっ!?」


思わず出た大きな声に他のメンバーが振り返った。