「おはよう」


いつものようにまぁまぁのテンションで奈桜が言う。
朝は弱い方なのでこれが精一杯のテンション。
やや頼り無げにはにかんだ顔はメンバーには見慣れた表情ではある。


「おはよう。って…、奈桜~~!昨日観たよぉ」


すでに楽屋に入っていた泉が奈桜を見るなり、『待ってました』と立ち上がり満面の笑みで近付いて来た。
奈桜はそのテンションの高さにちょっと後退る。


「な…何だよ?何、その笑顔…」


「気持ち悪そうな顔すんなよ。昨日の『ナオ』のハンバーグを食べた時のあの笑顔に負けてないだろ?」


「あぁ…。…って、バカにしてるだろ?」


泉は昨日の奈桜が演じるドラマの主人公『ナオ』が『子供たちが作ったハンバーグに感動して泣きながら笑顔を見せる』というシーンを引き合いに出した。


「バカにしてないよ。誉めてんだよ」


と言いながら、また満面の笑みを見せる。