「ハマってる。ハマってる。あの役は奈桜以外出来ないでしょ?あの…何て言ったっけ?奈桜をいじめてたプロデューサー……」


必死で何かを思い出そうとする奏を見て奈桜が『ふぅー』とため息をつく。


「神川プロデューサーだろ?」


「そう!その人!見る目あるよね。さすがプロデューサーだよ」


首を上下に『うんうん』と動かして1人で納得している。


「どんなヤツか知らないくせに」


小声で呟く。


「えっ?」


「いや、何でもない」


奈桜は立ち止まった奏の背中を軽く叩いて歩くように促す。