「あ…ハハハ。いや、仲良しでは……。いや…、仲良し?いや、あ……」


子供相手とはいえ、ついしどろもどろになってしまった。
桜にはまだ自分がZの奈桜だという事を言ってなかった。
言うのも難しいが、その後がもっと大変だと思った。


アイドル『Z』の奈桜の娘。
しかも天才子役だった七海との子供。
今はまだ感じなくていい、好奇の目を少なからず感じる事になるだろう。
幸い、保育園の関係者や保護者たちも気付かぬふりを通してくれている。
いつまで甘えられるか分からないが、今はまだ、桜を『普通』の子として過ごさせて欲しい。
だから桜はまだ奈桜はテレビ局で働く人としか知らない。
あながち間違いではないのが奈桜の自分への言い訳になっていた。


「だめ?」


「あぁ…、そうだな。パパも忙しいしな。また…いつか連れて行ってやるよ」


大人なら…、この苦笑いの顔を見て笑っただろう。