―空は高く…―
「パパ、ほんとにお散歩していいの?」
奈桜と桜が手を繋いで近くを仲良く歩いている。
夕方近くだというのに陽射しはまだ強かったが、奈桜はどうしても散歩しようと桜を誘った。
「大丈夫。パパ、お日さまの下で桜が麦わら帽子を被ったとこを見たかったんだ。すっごくカワイイぞ」
満面の笑みで桜を見る。
心から幸せだと思った。
これ以上カワイイものはこの世に存在しない。
きっと親なら同じ事を思うだろうが。
「パパ、お外が嫌いだったのに」
ずっと、旅行以外で奈桜が桜と外出する事はなかった。
もちろん、人目があるからだ。
今でも人目は気にするが、桜の事を公にしたおかげで変に狙われる事は少なくなった。
それどころか奈桜のファンの子たちの中でSPもどきな事をする子たちが現れ、二人が外出する時には遠巻きに見守り、勝手に写メを撮ろうとする人には注意をしていた。
彼女たちは奈桜の役に立っているという事に満足し、またそれを使命のように思っていた。
奈桜はそんな彼女たちに帰り際に必ず『ありがとう』と頭を下げた。
どれだけ感謝しても足りない。

