パパはアイドル♪ ~奈桜クンの憂鬱~

「最後の詰めが甘いのよ」


悪戯っ子っぽく梓が笑う。


「うるさい」


ふと梓の首に目が行った。


「それ…」


「あ…、気付いた?ずっと着けてるのよ。お守りなの。肝心な時には必ず…ね。何度も幸運を運んでくれた」


ダイヤのネックレスをそっと指で触る。
小さな石が一粒、梓の首で光っている。
それは奈桜が初めてプレゼントしてくれたもの。
初めて…といってもそれ一度きりだったが。


「また買ってやる。今度はもっとデカイやつ」


「うん」


時間は容赦なく進んで行く。


「じゃあ…。また…ね」


「おぅ。また…」


「桜ちゃんを大事にしてあげてね」


「梓のドラマ、観せとくよ」


「あぁ!変なイメージ植え付けないようにちゃんと選んでよ」


優しく微笑むと手を振って歩き出す。
奈桜も優しく微笑みながら後ろ姿を見送る。
一度。
だけ振り返って大きく手を振った。


「ありがとう!」


「ありがとう!」


梓の姿は人混みに消えた。


「ほんとに…ありがとう」


お互い、また小さく呟いた。