パパはアイドル♪ ~奈桜クンの憂鬱~

「神川さんが進めてたドラマ、どうなった?出なくてすんだ?」


「あぁ、あれは…。うん。神川さんの方からキャンセルの話が来た。でも…、出る事にした。宣伝用の撮影も済んでたしさ。台本がさ、面白かった。まだ子供がいるってカミングアウトする前だったけど、やってみたいって思った。桜を守る為だけじゃなく、惹かれたんだ。…ごめん。せっかく掛け合ってくれたのに」


「ううん。奈桜がやりたいのなら私は何も言わない。余計な事しちゃったかな?」


相手を想う気持ちがいっぱいで胸が苦しい。
あれこれ言葉が浮かんでも、上手い並べ方が分からない。
どうすれば傷付けずに伝わるか、慎重に考えれば考える程、言葉足らずになって行く気がする。


「余計じゃない!…余計じゃないよ。おかげでその後のドラマの話は全部白紙になった。神川さんとの約束はナシだ。…梓のおかげ」


梓は笑って首を振る。
ちょっと下を向いて照れわらいする仕草が可愛くて、その梓の体に神川が触れたかもしれないと思っただけでどうしようもなく腹立たしい気持ちに襲われる。