パパはアイドル♪ ~奈桜クンの憂鬱~

「帰る」


勢いよく立ち上がると玄関に向かって歩き出す。
心の中の事は奈桜にはバレないと分かっていても、その場にいるのが恥ずかしくてたまらない。
その証拠に立ち上がった時に膝を思いっ切りテーブルにぶつけていた。


「もう帰るのか?桜呼ぶから…」


奈桜も続いて立ち上がった。


「いい」


奈桜に背を向けたまま即座に答える。


「桜とは…、もうちゃんとお別れしたから。これ以上は…お互い辛いだけ」


強がっていた七海の背中が奈桜の目に頼り無さげに映った。


「そっか。…分かった」


奈桜もそれ以上は言おうとしなかった。