パパはアイドル♪ ~奈桜クンの憂鬱~

「元気そうで良かった…」


桜の切実な願いには答えず七海は感触を確かめるように桜の髪を何度も撫でる。
桜もそれ以上は繰り返さない。
信じているからなのか、本当は無理だと悟っているからなのか…。
七海はふと奈桜を見上げて何か訴えるような目をした。
奈桜はそれを待っていたようにそっと頷く。


「桜、パパ、ちょっと仕事の電話かけないといけなくてさ。ママと待っててくれるか?」


かがんでいる七海の横に同じようにかがんで桜を見る。
初めての3ショット。
それはどこから見ても幸せそうな親子の姿だった。


奈桜は七海の肩に軽く手をかけてポンポンと叩くとゆっくり立ち上がり道路の方へと歩いて行く。
七海は切ない眼差しでその後ろ姿をしばらく見つめ、また桜を抱きしめた。