パパはアイドル♪ ~奈桜クンの憂鬱~

奈桜は青い空を見上げた。
遠く正面に飛行機雲が線を引いて行く。


「七海、オレのマネージャーやるか?」


「えぇっ!?」


「冗談だよ。冗談。石田さんをリストラする訳には行かないからな。お前、母親か姉ちゃんって感じなんだよな。……ありがとう」


奈桜は七海の方を向いて頭を下げた。


「な…何よ。どうせ私は色気もないしね。あのハリウッド女優と違って」


素直じゃない言い方をするのも七海の癖だ。
そんな事くらい奈桜はよく分かっている。


「ダンナさんと仲良くやれよ。お前には幸せになって欲しいからな」


「ダンナ?あぁ…、フフ…。次、イイの見つけるわ。アイツね、今のダンナ、私を好きな訳じゃなかったの。私じゃなくて芸能人『七海』の名前に惚れてたのよ。演出家として七海の名前を利用して仕事が欲しかったの。私はただの踏み台。でももうその価値もなくなっちゃったから。出て行っちゃった。ハハ…。笑っちゃうでしょ?私の捨て身の隠し子スキャンダルも失敗。ダンナには逃げられる。残ったのは紙切れ一枚…」


紙切れが離婚届の用紙だという事くらい、鈍い奈桜にも分かった。