「遅い!3分遅刻」
可愛い顔に似合わず仁王立ちで斜に構える七海は相変わらずだ。
「3分?めちゃめちゃ早いだろ?急いで来てやったんだからな!」
いつになく強気に出る奈桜。
「何?カミングアウトしたら怖いものなんて無くなった?私より偉いつもり?」
「お前より偉くなったって仕方ねぇよ」
ムキになる七海に奈桜はちょっと哀しそうに言う。
「フン。バカにして。…奈桜はいつもそうよ。何にも気にしてない、ちょっと抜けてる顔してるくせにキメル時にはキメルのよ。言う時には言っちゃうのよ…。今回だってそう…。そのタイミングが絶妙なの。そして、周りはみんな援護射撃する。私なんて、何にも出来なかった。見事、撃沈。…奈桜の勝ち」
近くの公園までヒールの音を響かせながらゆっくり歩いて行く。
その足音はいつもの勇ましさはなく、細く哀しく響いている。

